使っている丼の口が欠けた。それももう一年近く前の話だ。

丼というのはうどんやそうめんを盛るし、器の縁に口を当てる機会が他の形状の食器よりずっと多いものだ。
買い替えしたいと思いたったものの、そこらにある器では嫌だと思った。無印に行けば白い丼が手頃な価格で並んでいるし、無印まで行かなくたって100円ショップに行けば丼がいくらでも売られている。けれども、欠けたものを使いながらでも一番好きなものに出会うまで待ちたいと思った。
食器棚も持っていないほど食器の数が(一般家庭に比べれば)少ない方なので、だからこそお気に入りの器を持ちたいと思う。

かつて使っていて、そして割れてしまったのだけれど、沖縄のやちむんの使い勝手がよかった。またあれを使いたいと思った。


そうしてやちむんの丼を探し始めたのだが、探してみると見つからない。

検索バーに「やちむん 取り扱い 器 店舗」などと打ち込んで調べて、事前に電話などしてお店に訪れてみるも、思ったようなものに出会えない。

サイズが大きすぎて重かったり、好みの柄でなかったり、そもそも丼は取り扱いがなかったり。
ネットショップでやちむんの丼を探してみるも、望みの寸法で好みの柄に出会えない。4寸では小さい、6寸では大きい、5寸でもほんのちょっぴり寸足らず。どうしても5.5寸がいいのだ。
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そうこうしている間に8ヶ月が経った。

前職の同僚と話していたら、鎌倉のもやい工藝に行けばきっとやちむんが豊富にあると聞いた。

なるほど、確かにあそこには豊富にありそうな気がする。やはり、どうせなら手に取って選びたい。

そうして、ライブドアブログ忘年会で仲良くなったジョリジョリさんと一緒にもやい工藝に訪れたのが4月のこと。
そこにはやちむんの丼が3つほどあった。今まで巡った店舗の中で最も数が多かったし、望みの5.5寸のものにようやく出会えた。

しかしお店の方は言った。

「今月末からやちむん展をするので、その時に来ていただいた方がずっと数が多いですよ」と。


おお、ここまで来てまだお預けを食らうのか。もうこのまま購入してしまおうか。そう思ったものの、

8ヶ月も9ヶ月も変わらないのでは?」という意見を聞き、それもそうだなと思い、どうせならあと一ヶ月待って様々な窯元のやちむんが一堂に会するの展示を見て、好みの器を決めようと思った。


そうして一月が経ち、先日満を持してもやい工藝に再訪した。

見渡す限り、やちむん、やちむん、やちむん。これこれこれ。これを求めていた。


青の釉薬でチェック柄が描かれ、その四角を埋めるようにオレンジの丸い模様がぽつぽつと描かれた丼(すごくかわいい)

地の色がかなり白いものに真っ青な釉薬でくっきりと何かの文様が描かれたもの(すごくモダン)

茶色の地に花のような白い文様が描かれ、その白いラインはぷっくりとしていて指でなぞりたくなるようなもの(渋くてかわいい)

様々な丼が並んでいた。


あれでもない、これでもないと一時間近く悩み、この2つの丼に行き着いた。

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まず右のものから決めた。


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青だけで描かれた文様がモダンだと思ったし、それでいてモダンに触れすぎず土臭い魅力も兼ね備えているように感じられた。
これは読谷山焼北窯のもの。松田共司さんが作られたもの。


これに合わせるものを、あれでもないこれでもないと悩んだ。隣に並べては、洗った食器を伏せる網棚の上で並ぶふたつの丼の姿を想像した。そんなことを繰り返した末にしっくりきたのがこれだった。

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同じ系統の柄でありながら、オレンジが入ることで「双子ではなく兄弟」という感じで、きっといい感じにまとまるだろうと思った。
これは恩納・照屋窯のもの。

これを買ったらそうめんパーティーをすると決めていた。その晩はきゅうり、トマト、ひき肉、みょうがを買って帰った。肉味噌をつくり、薄焼き卵をカットして乗せて、生姜もみょうがもたっぷり入れて、もみのりを思う存分ふりかける。
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うまうま。器を買うと料理する気って湧いてくるものなのだなと驚く。万年料理面倒食欲なし女にとっては、こういうきっかけというのは大変にありがたい。

9ヶ月待った甲斐あって、いい丼を買えたという話でした。

おわり。

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