帰省している時に風邪をひいた。
マスクをして、マフラーをぐるぐる巻きにして、最寄りのバス停からバスに乗った。
バス停を降りて、記憶をたどって歩く。
学生時代、風邪をひいたり体調を崩したらいつも通った医院へ向かう。
雨がパラついて、灰色の雲が空を覆っていた。
私が帰省すると大抵晴れるので、こういう曇り空と雨降りの地元を見るのは久しぶりだった。
植え込みのそばを歩く。
それは、とても、暮らしている感じがした。
今までの帰省で、一番暮らしている感じがした。
タイムスリップするような感覚だった。
中学生の自分、高校生の冬のこと、大学生の夏のこと。それぞれの自分の意識に入り込むようだった。
もし地元を出ることなく暮らし続けていたら、こういう日常があったのだろうという、一種のパラレルワールドのようなリアルな感覚を覚えた。

薬をもらって、バスに乗って家に帰った。
紅葉狩りをしたり、焼肉を食べに行く予定は消え去り、夕方まで布団の中で寝て過ごした。
思えば、原稿が終わるまで絶対に風邪をひいてはいけないと思い、うがい手洗いを徹底し、睡眠時間に気を配りマスクをして眠るなど、生活の隅々まで張り詰めていたように思う。
すべてが終わって、安心してきったのだと思う。それで、風邪をひいたのだろうと思った。
喉も痛いし鼻は詰まって苦しかったけれど、1日何もせず寝て過ごすなんていつぶりだろうと思った。
それで、ああ、そういえば家を出る前に「何もしないは難しい。だから意識して何もしないをしたい」なんてことを望んでいたと思い出した。
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風邪をひいたことで、それが叶えられてしまった。
祈ると、思いもよらぬ形で叶うことがあるらしい。
意識的に休みをとったり、何もしない時間をもっておかないと、どこかで精算することになるのかな、ということを思った。
おわり。
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