先日、松本に行った。
目的地に向かうバスの中で、70代半ばくらいの夫婦が前と後ろの席に別れて座っていた。
座席に阻まれて、お互いの姿は見えないはずのに、二人は全く同じポーズをして窓の外を見ていた。
緑の葉っぱを透けた光りが窓の外には広がっていて、
薄暗い車内から覗く緑の光と夫婦の夢中で外を見る姿は夢か何かのようで、
何も考えなくても自然と同じポーズをとるくらい連れ添った夫婦の姿を見て、
ああ幸福がそこにある、という思いがよぎった。
人生をたたんでいくその時にも人生は人生で、
死ぬその瞬間までその人の人生は人生なんだな、という考えが頭に浮かんだ。
最近、年若い人と年老いた人を交互に見ると、なんとも言えない気持ちがこみ上げる。
自分もいつかこうだった。人生が始まって広がっていく時があった。
そしていつかこうなる、人生をたたむ時がやってくる、その時何を思うんだろう?と。
(写真は富山駅。)
フィルムが入っていないと思い込んでカメラを開けたら、入っていた!
露光しちゃったよー。しかし夢の中みたいな写真になった。
これは京都で撮った。
道中、フィッシュマンズの音楽を聴いて、半分うたた寝するようにまどろみながら、流れる景色を見ていた。
音楽を聴いて、何かの感情が浮かぶ。情景が浮かぶ。夏の午後に白昼夢を見ている気分になる。
彼の曲には政治的な問いかけや主張があるわけでない(と思う)けど、曲を聴いて何かの感情を抱かせる。
それでいいじゃないか、と思う。私は。
晴れた日にこの曲を延々聴くと、白昼夢を見ているような気分になる。
彼らは音楽でそれをやったけど、
小説を描きたい人は文章で、漫画を描きたい人は漫画で、ドラマの人は映像で、カメラを持つ人は写真で、その感覚を抱かせる。それぞれの得意分野で。
それでいいじゃないか、と思ったのだ。
ラグーナ蒲郡にて、森、道、市場。
何を伝えたいとか、そういうものがなくてもいい。(あってもいい。)
「自分はこう思った」その感覚を残したい、それが誰かに何か別の感情や感覚を与えてその瞬間何かを感じてくれればいい。
それで十分じゃん、文章を書くことの意味。絵を描くことの意味。写真を撮ることの意味。
そんなことを思った。
写真はすべてOLYMPUS PEN EE。フィルムは富士フィルムSUPERIA X-TRA 400。
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