この季節になるとスーパーに行くたびに足を止めるコーナーがある。

梅売り場。

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「梅しごと」はとても惹かれるワードだ。

丁寧な暮らしを連想するし、自分が漬けた梅酒や梅シロップを使って喉を潤いしたい。そう思う。

買ってみようかな。・・・いや。

立ち止まる。

• 梅しごとの思い出
• 手を伸ばすだけ伸ばして、やり遂げられなかった
• 一つ一つ過去の願望を叶えるように、もう一度手を伸ばす

梅しごとの思い出

思い出すのは夫と暮らし始めて初めての5月。

梅酒を漬けてみたいという話になって、大きなプラスチックの容器を用意した。

諸々手順通りに進めて、キッチンの食器棚の一番下の両開きの棚にしまった。

しばらくして一回飲んだような覚えがある。

味は覚えていない。

その存在を忘れて数ヶ月。

キッチンの掃除をしている時に、ふと戸棚を開けてみた。

盛大にカビていた。

ショックのあまりなのかはたまた年月が記憶をかき消したのか、詳細は覚えていないけど、

戸棚の壁まで白くなっていたような覚えがある。

梅酒も容器も捨てた。

そんな苦い思い出が再生されるので、毎年売り場で足を止めるも、

結局梅を買うことはなかった。

手を伸ばすだけ伸ばして、やり遂げられなかった

思えば万事がそうだった。

何かをやりたいと思ってやってみるけどうまくやり遂げられななかった。

ベッドというものを持ちたいと思って買ったはいいが、マットレスのメンテナンスができなくてカビさせる。

植物を育ててようと言って、育てていること自体を忘れて枯れさせる。

花の水を替えることを忘れてしおれさせる。

服を作りたいと言って布を買って、結局作らずに布だけいつまでも押入れの中にある。

そうやって、やりたいと手を伸ばすたびに何もやり遂げることができなくて自分に失望していたのだと思う。

こんなこともできないのか。と。

今思うと、自分のキャパシティを全く理解せずに、理想だけが先走りしてどんどん手を広げていた。

自分がズボラだということに気づいていなかったらしい。

一つ一つ過去の願望を叶えるように、もう一度手を伸ばす

自分は大層ズボラであるらしいと気づいて、自分の管理できる分まで減らそうと思った。

少しずつ持ち物を見直して、自分の手に負えるだけの量になってきた。

そうして、一つ一つあの頃の願望を叶えるように、

できることが増えてきたように思う。

植物は自分には世話しきれないからと育てるのを諦めていたけど、家事が軽くなった今なら育てられるかも？と思って買ってみた。

半年以上経った今も元気に育っている。

花を生けるなんて無理だと思っていたけど、やっぱりどこかで花のある暮らしに憧れていて、

「えいやっ」と花を生けるようになった。

この2か月、日々水を替えて、花のある暮らしを楽しめている。

ベッドを手放して布団生活になり、

寝具をカビさせることなく過ごすことができるようになった。

考えてみれば「ブログを書くこと」もその一つだ。

これまでにブログを開設しては2記事くらいしか書かなくて続かなかったもの。

自分には何もできないと思っていたけど、何もかも全くできないわけじゃなくて、

キャパシティの範囲内であればできることもあると気づいた。 

今になって、一つ一つ取り戻すみたいに、過去の願望を叶えていってる。

どれも「今ならいけるかも」という予感がよぎって、その感覚に従って挑戦してみている。

梅しごと。

とても素敵な響き。

でも、今はまだ違う気がしている。

まだ何かが身軽になりきっていないのだろう。

その時が来たら、いつかやってみたいことの一つ。

その時までのお楽しみ。

www.nekoie.com

ブログ「ネコハウス」のヤマネコさんの記事で、

わたしは初めて「梅しごと」という言葉を知りました。

こんな言葉があるんだな。丁寧であたたかい響きだなと思いました。

素敵な写真とともにその様子がつづられていて、憧れます。

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