着なくなった服や、おみやげで買ったものなど、ご自分のものを捨てようとしても捨てさせてくれない家族との折り合いをどうつけたらいいかというテーマのお悩み相談に、
毎月連載させていただいている『いい住まい』の『おふみの相談室』の中でお答えしました。

実家に暮らしながら、ものを持ちたいタイプのご家族と共同生活を送る女性からのお悩み相談のメッセージをいただきました。

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ご両親と妹さんの4人暮らしで、妹さんと部屋を共有で使っているそうです。
ご相談者さん以外はものを持ちたいタイプで、何か捨てようとすると止められてしまうそうです。

すっきりした部屋を目指しているものの、自由にできるスペースが限られており、理想実現度でいうと10%程度でもどかしく感じているというお悩みでした。


これ、実家暮らしあるあるではないでしょうか。

このお悩みに対して、視点の切り替えをおすすめします。
家の空間を「駅・人の家・自分の家」に分けて認識するというものです。

インテリアを整えたいという欲求はある日ふっと芽生える

ところで、「インテリアを整えたい」という欲求って、ある日目覚めますよね。

インテリアを整えたいという感覚って、生まれながらに備わっている感覚ではないというか、成長しながら獲得していくものだと思います。
3歳にして「もっと色味を統一したい」と言い出したりしないですよね。


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実家の空間が当たり前だと思っていたところに、
インテリア雑誌を見て初めて「そうか!自室を整えるという概念があるのか!」と知ったり、

あるいは大学生になって一人暮らしの友人宅へ行って、家具の色味が統一されているのを目にして「あ、同い年の友人がこんなおしゃれな部屋に整えているのに自分ときたら……」

という感じで、ある日突然自室を整えたくなるのではないでしょうか。

私は同級生の一人暮らしの部屋に行って覚醒したパターンでした。

世代間でインテリアの感覚に違いがある

私は31歳ですが、親世代のインテリアの感覚には共通するものがあるように思います。(個人の意見です)

割とこれもあるあるだと思うのですが、
親世代(今の60代前後)はテレビの下にレースの敷物をしたり、あらゆる場所にカーペットを敷いたり、「足し算」をよしとする価値観を持っているのではないかと思っています。
割とどこの友人の実家に遊びに行っても近いものがあったように思います。
(映画『海よりもまだ深く』では、阿部寛の実家のインテリアにおいて、意識的に"その感じ"を出して作り込んでます。)


下の世代の方が、掃除のしやすさやスッキリ見えることを優先する「引き算」をよしとする感覚を持っているのではないかと思います。これは大まかにですが。
30代〜40代のご家庭で、新築〜住み始めて数年というお部屋の写真を見る機会が多かったのですが(職業上)
フローリングの木目にこだわっていて、それを全て覆い隠すような全面カーペットを敷く家はほぼ見かけませんでした。敷いてもソファセットの下にラグを敷くくらいで。

(※もちろん、親世代でもすっきりしたお宅はありますし、家庭ごとにそれぞれです。
大まかな傾向の話です。)


親世代のさらにもう一代上の世代になると、チラシを折ってゴミを捨てるためのカゴを作ったり、ビニール袋を保管しておいたり、あらゆるものに対して「いつか何かに使えるだろうから捨てるより残す」という価値基準があるように思います。
(物資が不足していた時代を生きた人に、無理に何かを手放すことを強要はできないなと思っています。
それがゴミ屋敷みたいになっているのなら話は別ですが、
自分で管理できているのであれば、「もっと手放した方がいい」という価値観を押し付けるべきではないと考えています。)


このように、世代間でどうしてもインテリアの意識が異なります。
異なる世代の人間同士が同居する上で、
「世代間の感覚の違いがある」ということを意識する必要があるなと思っています。


連載記事の中でご相談者さんにアドバイスしたことがいくつかあり、

そのうちのひとつは、空間を区分けして「駅」と「人の家」と「自分の家」と認識すること。

家の空間を区分けして、「駅」「人の家」「自分の家」に分けて認識する

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例えば、いつも利用する最寄駅が個人の好みのインテリアでなかったとしても、
「もっとこうしたい。変えたい」と思ってもどかしくなることはないのではないでしょうか?
それは、駅を公共のものだと認識していて、自分でコントロールできる空間ではないと認識しているから。

自宅にも公共の空間と私的な空間があります。

まずは「駅」
キッチンやリビング、水回りや廊下などは家族の共有領域で、公共のスペースです。
駅みたいなものだと捉えます。

※もしこの空間が、虫がわくほど汚部屋状態になっていたりするとすれば意見して説得して家族みんなで掃除すべきですが、
そうでないなら、基本的に共有スペースのインテリア決定権は家の持ち主(持ち家・賃貸の形態を問わず名義人)と考え、その空間を見るときは公共空間として捉えることをおすすめします。

次に「人の家」
そして、ご両親のお部屋や、妹さんのスペースは「人の家」として捉えることをおすすめします。
例えば友人の家にお邪魔した時も、駅と同様に「もっとこうしたい」ともどかしく思うことはないのではと思います。
それは、人の家はその人のもので、自分がコントロールできる空間だとは思わないからです。

そして最後に自分の管理できる領域。=自分の家
ここが自分の意思でコントロールできるスペースです。

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家全体を私的空間、なおかつ自分がコントロールできる空間だと認識すると、100%中10%しか思い通りにできなくてもどかしくなってしまうかもしれませんが、
私的空間と公的空間を分けて捉えて、
“駅”と”人の家”と、自分の部屋の”自分の空間”を見る目をスイッチで切り替えることで、
もどかしさを感じることは少なくなるのではないかと思います。

実家暮らしのコツは目を開けたり半目になったり、場所によって視界に入れる情報を適度に遮断することだと思っています。


他に、ご自分へのおみやげとして自分のお金で買ったハリーポッターの杖を手放そうとして止められたことに関して、
親にとって子供のおもちゃは「育児の思い出の品」に近いのかもしれない、というお話などしています。

ものは管理している人が手放すかどうか決めるべきですが、
ある程度大きくなってから買ったその杖も、もしかすると幼少期の頃に買ったおもちゃに近い認識なのでは…?という可能性にふれつつ、お悩みにお答えしました。

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おわり。


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